10月は毎週のように全国各地の生産者を訪ねていたら月間移動距離が5000km近くになっていた社長の小浦です。
その中でも面白かった無人島で有機レモンを栽培している胡子さんの紹介です。
広島県呉市の沖にあり船でしかたどり着けない尾久比島(おくびじま)という無人島
*ちいさな漁船が移動手段です。
奥に見えるのがおくびじま
島の船着場・・・という名の砂浜です。
無人島という事もあり
周囲の環境からの化学物質汚染が全くない状況です。
こちらの島で6年前より有機栽培でレモン栽培をしているのが生産者の
胡子知生(えびすともき)さん54歳
元々は大手上場企業で経理の仕事をしていらして
農業とは全く関係のない業界からの脱サラ移住の方です。
そんな元経理の胡子さんですが
レモン栽培への挑戦のスタートは
誰にも習う事なくレモン農家になろうと決めて無人島の放棄されていたレモン畑を借りてしまい
ハードモードのスタートを切ってしまった方なんです。
(普通はどこかの農場で研修やアルバイトしてっていうのがスタンダードプランです。)
「とりあえずやってみよう」
「習うより慣れよ」
という強いメンタルで経理とは違うレモン栽培の道に入ってきますが
いきなり道に迷います。
「何からやればいいんだろう?」
当然ですが何から手をつけていいかわかりません(笑)
広島県はレモンの生産量日本一という事もあり
胡子さんのお住まいの地域にも沢山レモンの木が植わっています。
そこで胡子さんは近所のおじいちゃんに何からしたらいいか聞いてみます
すると
「あの島の木は剪定しないとダメだよ」
と言われ
「そうか枝の剪定か!じゃあやってみよう!」
と、思うのですが・・・
誰にも習う事なく始めてしまったので剪定の仕方なんてわかりません。
そんな胡子さんに救世主が現れます。
その救世主は剪定しないとダメだよって教えてくれた近所のおじいちゃんでした。
この方、実はレモン栽培歴60年の大ベテランでして
胡子さんはこの方に「剪定の仕方を教えてください。」
と、頼み込んで無人島まで来てもらう事になりました。
名人のおじいちゃん
次から次へと滑らかに枝を切り落としていきますが
胡子さんはどの部分を切ってるのか全くわかりません。
おじいちゃんは
ココをこう
アコはこう
と、ポイントだけを言い残して島を去っていきました。
ぽつんと一人残された胡子さん
名人の切った後を眺めながら自分なりに切っていきます。
見よう見まねで夢中になって剪定作業を進めていって1本終わった~と時計を見ると
なんと1本切るのに3時間もかかっていました。
胡子さんの借りた畑には400本のレモンの木が植わっています。
来る日も来る日もレモンの剪定・草刈り・枝につくカイガラムシ取り・・・と
作業に明け暮れて気がつけば数年の月日が経ち
いつの間にか胡子さんのレモンは全国から注文が来るようになり
こだわりの野菜を販売する業者さんからも
これはかけるレモンじゃなくて食べるレモンだと味についても高い評価を得るようになりました。
そんな時です
知り合いの紹介で養蜂家の方と知り合った胡子さんは
島にはちみつの巣箱を置くことになりました。
レモンの花の受粉にミツバチはとっても大事な役割を果たしてくれます。
養蜂家の方にとっても周りで農薬をまかれる心配のない島の環境は最高です。
この出来事がきっかけで無人島レモンの凄さが分かる事になるんです。
ミツバチが大繁殖
ミツバチは周りにエサになる花があり化学物質の汚染が無い場所だとドンドン増えていくそうです。
エサになる花があったとしても農薬や除草剤をまかれる環境だと全然数が増えないそうです。
島に置いた巣箱を毎週養蜂家の方は中の蜂の様子がどうか見に来るのですが
来るたびに凄い勢いでミツバチの数が増えていき
蜜を採取する時には凄い量がとれたそうです。
無人島という稀有な環境
農薬を使う環境だとミツバチは生きてはいけません
それを分かっているので養蜂家の方は巣箱を置かせてもらう畑の持ち主の栽培方法を良く調べてからお願いするそうです。
それでも
ミツバチが増えないことがあるそうです。
ミツバチは周囲3kmを飛び回って蜜を集めます。
巣箱を置いた場所が良くても
周囲3kmで農薬を沢山撒いていたら影響を受けてしまう繊細な生き物なんです。
無人島の環境の良さを物言わぬミツバチが教えてくれました。
人にもミツバチにも安心の無人島レモン
波が高いと島には行けません
島にいて波が高くなると家には帰れません。
レモンを沢山運ぼうにも小さな漁船じゃないと島には辿り着けないので沢山運べません。
陸で作るよりもガソリン代などのコストがかさんでしまいます。
効率よく生産し少しでも安く販売するという面においては不利な条件しかありません。
ですが
「どこのレモンよりも安全ですよ。」
と、ミツバチが教えてくれたレモンです。
沢山は入荷してきませんけど
みかけたら是非使ってみてください。
オススメです。
小浦