昆虫の触角のように。魚のひれのように。

「ブログを読んだ」と、中日新聞の記者さんからお電話ありました。
私と同じ、男の子3人育てているママの、記者さんだからか
おなじようなことがいつも気になる私たち。

いろいろ話してるうちに、いろんなことを思い出してきました。

今回はとくに、自民党の高村正彦議員の、こんな発言
「後藤健二さんの行動は蛮勇」

も、あったので。
この発言にも刺激されて、
古い記憶が蘇る。

自民党副総裁のこの方は、こんなふうに話したそうです。

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高村副総裁は2月4日、記者団に対して「後藤さんが3度にわたる日本政府の警告にもかかわらずテロリスト支配地域に入ったことは、どんなに使命感があったとしても、蛮勇というべきものであった」と
話したという
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そして安倍さんは
「行政の最高責任者として、責任はわたしにある」
「日本人には指一本触れさせない」
と。

どちらも、いろんなことを思い出させる発言でした。

アジア旅行していたとき、
フィリピン・ミンダナオ島で、
日本領事館の方と一度、お話しました。
私がすごしていた場所が、紛争地域とされているところだったので、
その地域のことをいろいろ聞かれました。

領事館や大使館にお勤めの邦人の方は、
人数がそんなに多くない(ミンダナオの場合は3人?)ので、
情報収集もたいへんだなあと思った記憶があります。
新しい情報はなにもない感じだったので、イチから説明しました。

で、そのとき、親のいない子どもたちの惨状を伝えて
なにか出来ないかと相談したときに

「そういうことにはあまり関わらないように。
危ない地域なので、今後、立ち入らないほうがいいですよ」と
言われました。

やることもたくさんあるでしょうから、
地域の細かい事情までは把握できないのはしかたないんだろうなというあきらめと、
でも危ないの一言でなにもかもひとくくりになってしまうのは
残念だなとも思いました。

(たとえば金沢市東部が戦闘区域だったとします。
でも我が野々市市はまったく平和で
そこに金沢の子どもたちが避難してきたとします。
隣町だから危ない、の一言で
その子どもたちも切り捨てられるとしたら
残念じゃないですか?)

タイとカンボジアの国境で過ごしたときには
日本のNGOにお世話になっていたのですが、
そこのスタッフさんは、言っていました。

「大使館からよく情報を求められるので、知ってることは伝えてる」と。

こんな辺境の土地にまで、プロパーの外務省の職員さんは来ないから、
私たちみたいなNGOから情報集めるんだよね、と
言ってましたっけ。

なるほどそんな風に情報って集めるんだなと思ったことを
よく覚えてます。

情報は、ひとが集めるんだな。
それが材料になって政府の判断につながることにも、なるんだな、と。

誰も行かない辺境にいる人たちは
たとえて言うなら、昆虫の触角みたい?
手を伸ばして、情報をあつめてます。

それを「蛮勇」と言ってしまい、切り捨ててしまうなら、
触角なしで生きていく昆虫のような?

安倍さんは、自分が親となり
「日本国民を守るんだ」と、
尊い決意をなさっていらっしゃるのかもしれないけれど。。
この言葉には、違和感しかない。

国って、そんなつくりじゃないと思えるのです。

たとえて言うなら、
魚のひれの一番はしっこはすごく薄くて、
見えるか見えないか、くらいだけど
その部分がなかったら魚はおよげない。
うすーいひれの端っこに支えられて初めて、自由に泳ぐ魚です。

触角をなくして、ヒレも薄いところはなくして、
それで国のコントロールが効くのか?

情報なしで、地図もコントロールもない状態で走っていって
みんなで大きな穴に落ちたりしないのか?

はねっかえりで、命知らずで、興味のままに動いてしまう、
そんなエッジな人たちは
今、「国に迷惑をかける」「責任が取りきれない」と批判されるのかもしれないけど
でも、内だけ向いて、安全にだけしていたら
それでほんとに大丈夫なのか?って、今けっこう気になるんです。

いや、ものすごく、心配になっているのです。

10年前

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