反抗期の長男と仲良くなれた話

<むつみ>

大掃除の合間に、今年ずっと書きたかったことを。
7月の出来事で、でも自分が忘れたくないから必ず書こうと思いつつ、後回しにしてました。

今年小学5年生の長男は、赤ん坊のころから自立心が強かったのか
必要がなければ甘えてこない、
自分のやりたい遊びにいつも夢中で
おなかがすいたときだけ親を頼る、
そんな子でした。

いつも友達に恵まれ、たくさんの男の子たちと群れて楽しそう。

自分をしっかり持っている長男を頼もしく思いながら育ててきました。
そんな長男には、よその子よりも早く反抗期が来たのか
小3の冬くらいから、学校の帰り道で私と会うと「チッ」と目をそらしたり。
サッカーの話をしていても
「おかあさんなんもわかってないし」的な態度。
4年生になると、会話もしなくなり
いつも「チッ、うるさいな」風な対応。

それでもサッカー少年団、町内の子ども会では、親の仕事がたくさんあり
いやでもついて回らなければならない私は
少しつらかったです。
いや、かなりつらかったです。

一番いやだったのは、自分が頑張って練習しようというよりは
負けるのを人のせいに考えてる節が見られること。

転機があったのは今年7月。

自分たちの少年団主催のサッカー大会があり、
準備も入れると2日間半、炎天下での世話が続きました。
店にも出られない、他のきょうだいがどう過ごすかもドタバタやりくり、
もちろんご飯も作れない。洗濯物もどえらいことに。

コーチが、今年県大会で優勝したチームを
招聘してくれていました。
大会の最後に、そのチームと県外の強いチームの試合。
自分の小学校のグラウンドだから、ほんとの目の前、3Mくらいの距離で、
すっごく強いチームの試合が見られるチャンス。

なのにうちのチームの子どもたち(6年、5年、4年)、
そのことに気が付かずに遊んでました。
「美川さんの試合はじまるよ!前に出て見たら」と声をかけたら

「前で見ていいん?やったー」と、ベンチもって走ってきた子がいっぱいいる中で
うちの長男は遊び続けてた。
「ねえ、始まってるよ」と声をかけても
「わかってるから」とモタモタ。

長男、3年生くらいまで、すごくやる気があって
試合に負けると悔し泣きしてたんだけど
上級生の数が少ないために2学年上の試合に出ることが続いて
(3年生が5年生の試合に出る。4年生になったら6年の試合に)
どうしても勝てない。たいていの試合は大負け。12対ゼロとか。
そんなことが続いて、負けても悔しがらないようになってしまってました。
それでもサッカー大好きで、続けてきた子だから、
なんとかしてやりたいと私も思って、応援してきたのに、
だからこの絶好のチャンスも生かして勉強してほしかったのに、
3回声をかけてもまだ、モタモタ、ヘラヘラしてる。

みんな熱心に見てるのに。
前半終わるころに、やっと、のっそり出てきた。

なんで?なんで???

ハーフタイム、強豪チームのキャプテン(6年生)の振る舞いが目に入ります。
「5年、ちゃんと給水してや。
~~~の場面で対応できてないから、~~がしっかり見てや」
「ハイッ」

まるでコーチみたいな貫禄。
わが子と1学年しか変わらないのに。
全然違う。
比べたらいけないとわかっててもショック。
いつのまにか向上心もなくしてしまって、
世話するこっちの気持ちもどうでもいいって態度。

炎天下、全部を犠牲にしてここにいる私、いったい何ねんろ???
なんのために、この2年間、親がしんどい思いしてきたんやろ?
わけがわからん!

片づけの時間、ゴミの運搬の行きかえり、チームメイトのママに
「うちの子、どうなっとるん!!!」とぶちまけました。
「えー、でも、結構ガンバっとるんじゃないん?
私の目には、そう見えるけど」
「あの態度が?私には許せんわ!!!!」

おさまらず、ほかのママにも相談。
「5年生にもなって、下の子を引っ張っていかんなんのに
なんなん、あの態度!
せめて上手くなりたい気持ちだけでも見せてくれんと!」
「うーーん、私にはあの子は十分ガンバっとるように見えるよ。
リーダーシップ取ってくれとるよ。
うちの子なんて~~~~~やし」

それでもどうしても気持ちがおさまらない私は
別のママ、ミホちゃんに相談。
ミホちゃんは高校生と中学生の息子さんもいて
男の子3人育ててる人です。
いつも面白いこと言っては、四六時中、皆を笑わせてくれてるミホちゃんが
このときは大真面目に
「むっちゃん。気持ちわかるけど、
怒らんほうがいいよ。
怒っても、どうにもならんわ。
気持ち、よーーくわかるし、私もさんざん怒ってきたけど
怒って話しても、うまくいかんげん。
怒らんこっちゃ。こらえてあげて。」と切々と言うんです。

「でもあの態度ひどいよ?!タルすぎるよ!?」
「うん、そうねんけど、でも、怒ってもダメねん。」

何度も言われました。

家に帰り、ほかのきょうだいたちは寝静まり
テレビの前でなんとなく起きてる長男と私の2人だけになり。

「疲れてると思うけど、お母さんと少し話しんけ」
「ぅん? ぁあ?」

「今日、自分で、よかったと思うことある?」
「・・・・・・・〇〇をしかけてみて、うまくいった。あとは、●●もできた。」

「・・・・イマイチやったことは?」
「●●と、●●と・・・・。
あいつが、ディフェンスぜんぜんやらんし。
あいつも、なんも仕事せん。」

あー、また、人のせいか・・・
でも、怒ったらダメ、怒らない・・・ミホちゃんと、怒らない約束したから・・・相づちだけ。
「あんたらも、5年生やから、4年生のこと見てやらんなんしね」

「でも、あいつら、何も言うこときかん。
前に6年生(もう卒業した)おったときは、聞いてくれたけど、
いまは、オレら5年のいうこと聞かんよ。」

甘ったれるなよ!しっかりせいや!!!って言いたい・・・イライラ・・でも怒ったらいかんのやろ・・・
いま、怒る以外に何すればいいんかわからん・・・・

何すればいいかわからないので、とにかく頭をからっぽにして、
何も考えず、ひたすら話をつづけることにしました。

「どういうときに、聞いてくれんの?」
「●●と、●●が、すぐケンカになるし。
止めても、ぜんぜん聞いてくれんし」

あーー、あの2人はたしかに、大人が止めてもなかなか収まらん時あるなあ。

「●●も、オレの言うことは聞いてくれんし」

また人のせいかい!全部他人が悪いんかい!
って腹立つ気持ちをおさえつつ、延々つづく他人のせい話。
愚痴聞きタイムみたいになってきました。

「前のキャプテンおったときは、みんな言うこと聞いとったけど、
おらんくなってから、勝手なことして・・・」

・・・あー、そういうのって、あったなあ。
部活で、3年生がおらんくなったら、一つ上の2年生がちょっと頼りなく見えたり。

なんか、わかる、わかる・・
わかるところも、ある・・・・

この子なりに、団のまとまりとか、考えてはいるんやなあ・・・

「なんか、オレ、自分のいうことが正しいと思ってしまうクセがあるんや。」

「自分が正しいと思って、なんか言って、で、結局、間違っとるってことが、あるんや」

??

「自分で正しいと思うことを皆に言うけど、結果、ちがっとった、とか、
みんながついてきてくれんってこと?
それ、お母さんもときどきあるけど、同じ話か?」

「お母さんもそういうタイプなん?
じゃあ、オレが失敗するの、お母さんに似たせいやね!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また、人のせいか?????!!!!!

 

でもこの言葉を聞いて、はじめて、
この子なりに、自分の正義感とどう付き合っていくか悩んでることがわかりました。
そんな悩みがあったとは、まったく知りませんでした。

「うん・・・・お母さんも、ある・・・・自分でいいと思っても、他人はそうは思わんってこと・・・
じゃあ、あんた、最近、そんな失敗してしんどい思い続いたり、しとる?」

「・・・うん。」

そっかー。
やってはみたけど、周りは付いてきてくれんかったか。
そうか。そんなこともあったんか。
しらんかったわ。

いつのまにか、息子の足が、私の足にちょっとくっついて、
そのままずっとくっついてました。
めずらしく、甘えとる・・・・

「いろいろ、あるわなあ・・・・
上級生も、たいへんやからなあ・・・・
お母さんも、●●とか●●のとき、うまくいかんくて。たいへんや」

「え、そうなん?お母さん、かわいそうやじ」

「うん。でも、あんたがサッカー頑張りたいなら応援するから、
お母さんも頑張るわ。だから、いっしょにがんばろな。
つらいことも、あるけどな。
自分で考えて動くと、どうしても、つらいことあるよね。」

「うん。ありがと。寝るわ」「お休み」

そんなふうに話はおわりました。

数日後、学校の通知簿渡しがあり、担任の先生からのお話で
「息子さんは、クラス代表として、リーダーシップとろうと頑張ってくれてるんですが、
まだうまく言葉を選べてなくて、
強く言ってしまってみんながついてこなかったり、っていう場面があります。
でもそれは本人のわがままではなくて、
彼なりの正義感で、頑張ってくれてるんです。
教師側も、そこを理解しつつ、
いまの言い方で伝わってるかな?って、考えるようにさせてます」と、
言われました。

言いすぎて、2度ほど、みんなのまえで、「ごめんなさい」と泣いたこともある、と。

そんな事件があったとは、まったく知らなかったので、びっくりしました。
親って、なにも気が付いてないんだな、って、ただただ、びっくりでした。

すねて、ふてくされてる息子しか、知らなかった。

その数日間以来、長男と私、いろんなことを話せるようになりました。
「ねえねえ、お母さん、今日、学校で・・」と
いろいろ話してくれるようになりました。

私も、頭をからっぽにして、「そうなん?」と、ただ聞くことに専念してます。

2学期の最後、通知簿渡しには、夫が行き、
「息子さんは大きく変わりました。彼は成長しました。
ただこうしろ!というんじゃなくて、●●だから●●しよう、と、言葉を選んで、
みんなをひっぱってくれています」と言われたそうです。

少し前に、「やぶちゃんのガチ聞き道場」というものに誘われていって
「人の話をきくときは、自分の意見はまったく抜きにして
ひたすら聞くこと」というのを教えてもらったことがありました。
どんな返事をしよう、とか、それって違うんじゃない?とか考えずに
ひたすら、ただただ聞け、と。
http://yabuchan.jp/

やぶちゃんの言っていたことは、これだったのかな。

ミホちゃん、みんな、おかげで、愛しい長男が戻ってきた。
ありがとう。
もちろん日常的に怒ったりすねたりの応酬はあるけど、
根本的なところが変わった気がします。
子どもにしてやれること。それはひたすら信頼して、受け入れること。
なかなかできないけど。
ぜんぜん、できないけど。ときどきは・・・出来ていたい。

命に代えても大切な、子どもたち。
こんなに愛してるのに、あんまり寄り添ってあげられてない。
こんな親だけど、来年もがんばるね。
一緒に、生きていこうね。

子ども以外の関係性でも、同じはず。
人の話を聞くときは、ただひたすら、聞く。それがいい。自分の意見とか、いらない。

やっと、書けて、満足・・
掃除と料理に戻ります。

また来年、どうぞよろしくお付き合いくださいませ。
私でよければ、またいろんな話、しましょう。

10年前

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