＜むつみ＞

先週、息子が、幼稚園の発表会で
キリストの聖誕劇に参加しました。

年長さんが全員参加でやる聖誕劇。

三年間の園生活のクライマックス的な行事。

キリスト教の幼稚園なので、先生は一年で一番のおしゃれをし、

保護者も着飾り、礼拝用にうつくしく飾られたステージで

おごそかに迎える劇なのです。

息子は、練習が始まる前から
「二軒目のやどや」役に、なぜか固執していました。

ご存知ですか？

国民に、国勢調査のため故郷に帰って登録をするようにというお触れが出て、

キリストの親となるヨセフと身重のマリアが、
とまるところを探して歩くけれど
どの宿屋もいっぱいで、一軒、二軒と断られ、
三軒目にようやく「馬小屋でよければ」と
泊めてもらい、そこでイエスを出産し、
飼い葉おけに救い主を寝かせる、というお話。

他にも、三人の博士とか、天使ガブリエルとか、
もちろんステキなヨセフさんとか、
いろんな役がある中で、
なぜ宿屋なのか？

親の私には、理由らしきものが見つからず、
博士とかだと衣装もステキで
見栄えするのになあ、なんて
思ってたんです。

それで、それとなく、
他の役にすれば？なんて言ってみたりもしました。

なんで宿屋なんだろう？それがよくわからなくて。

一軒目より二軒目のほうが役が軽いから

楽をしたくて選んだのかな？なんても思ったり。

息子は頑として、一貫して「やどや」と言い続け、

そのまま、宿屋役をやることに。

前日に、友だちと分かれるときに、

「明日がんばろうな！」と声をかけている息子。

張り切ってる。

「お母さん。明日、ドキドキする。」と眠れない様子なので

「わかるわー。

お母さんも、幼稚園のバザーの劇で

舌切り雀のチョンをやったとき

緊張したわあ」と応じると、

「お母さん。ちがうんや。

そんなんとは違う。

イエス様のことを知らない人に、

お誕生のことをお伝えする劇なんや。

だから、違うんや」と。

なんやろう、この使命感！

舌きりスズメとは違うらしい！

なにか大事なことをお伝えする劇だから

スズメと一緒にしてくれるな、という・・・・

よくわからないけど、今まで見たことのない息子の態度。

無事に出来るようにと、神様にお祈りまでしている。

なんでだろ？

翌日、本番、衣装を着けた息子が入場してきた瞬間、
私、自分が何かものすごく間違っていたことに
気がつきました。

息子の顔は、

宿屋になりきって劇に参加していることへの誇りで

溢れていました。

「みんなでチカラをあわせて、お伝えするんや。

一人でも欠けたら、ダメなんや」と

先生から言われたとおりのことを

精一杯、やろうとしていました。

やる気いっぱいの、
それは立派な態度のやどやさんでした。
身重のマリアさんの身体を気遣いつつも
宿が満室なので丁重にお断りをする
接客態度も花丸でした（さすがお店の子）

息子の中には、やるべき仕事があり
まさにそれは他の人と比べて
貴賎があるはずもない。
なぜ親の私にそのことがわからなかったのか？

ばかですねえ。

役だけじゃなくて、小道具の出し入れや、

劇中の歌も、精一杯やっていました。

いつのまにか、こんなに成長してたんだなあー。

もちろん、質素な宿屋の衣装が、
私には、もうとてつもなく輝いて見えました。

息子が、「チカラをあわせて頑張った」

三年間をともにした仲間たち、

大事に仲間意識を育ててくださった

北陸学院の先生方、

皆さん、ほんとうにありがとう。

救い主の誕生は、天使ガブリエルによって
まず、貧しい羊飼いに伝えられたことになってます。
この世の中が、
庶民や、目立たない労働を、
高く評価するところまではいかないまでも、
切り捨てたり踏みつけたりしない世の中であってほしいです。

そして私も、世間の基準じゃなくて

自分の心の声が　これだと言う

そんな仕事を心込めてやる

そんな大人でありたい。

みなさんも、どうぞよいクリスマスを。

にぎやかにすごす方、静かに過ごす方、

お金を使う方、使わない方、

いろんなクリスマスがあるでしょうが

自分の存在を祝福する

そんな時間になればいいですね。