完済御礼

<ムツミ>


(11月のお便りに書いたものに加筆した文章です。あしからず)


 アルの支払日は毎月10日です。先月一か月の仕入れ分を、まとめて払います。


 10日にキレイに全額払えない月もあります。たいていの取引先は、25日が期限なので、それまでに現金を貯めて払います。


25日ギリギリまで支払いを引っ張ってしまった場合、月末のお給料日まで数日しかない!なのに現金がゼロ!という怖いことになります。


 残りの5日間で、お給料分の現金を集め、口座を空っぽにしてしまうと、翌月1日に、お家賃の支払いと、お金を借りている ap bank への返済が出来ないことになり、アウトです。返済は1日と決まっているので、絶対に遅れるわけにはいきません。


 そんなわけで、アルとしては、ひと月に三回、ドキドキの大きな出費の日があることになります。10日と、給料日(月末)、そして1日。仕入れの支払いが10日にキレイに終わる月は、その後も順調に、お給料、家賃、と払っていけるのでステキです。やはり10日に現金がいくらあるか?が目安です。


 会計的には、今月は、今までとは少し違う「1日」を迎えました。11月で、ap bank への支払いが終わったのです。200万円お借りして、毎月56、415円(プラス手数料)を振り込んで、三年間。とうとう、完済しました。だから、今月1日は、過去3年間に比べて、5万円の余裕がある月頭となりました。


 chinamiありがとうございますchinami


普段使わない絵文字を入れて、感謝の念を表そうとしましたが、ぎこちない。すみません・・・・・・・普段の「ありがとう」よりもワンランク上のありがとうを表現したかったのですが、こんなはーとでは、表現しきれないです。



 アルには、ap bank の融資が決まったこと自体が夢のような話でしたが、お客様が毎日来てくださったこと、それに応えて働く元気なスタッフたちがいたこと、全てが嬉しい共鳴でした。


 ap bank のことは、田中優さんの講演会で、初めて耳にしました。坂本龍一さん、櫻井和寿さん、小林武史さんの、超ビックネーム3人が、非営利の非営利金融を始めた、という話は、刺激的でした。


 でも自分が借りられるとは、まるで思いませんでした。審査のための書類作りとかすごく大変そうに思ったし、自分に出来ることとは思えなかった。改装の費用は、必要でしたが・・・・


 「なんでもいいから(申請書類を)出してみれば?」と優さんに言われ、その気になりました。決して、励ましたり背中を押すような仰り方ではなくて、どちらかといえば投げた感じ?の一言でしたが、なんとなく、やってみる気になりました。


 一次審査の「事業内容の説明」は、30分ほどで書きあがりました。思いのほか簡単でした。二次の、「財務諸表」は、大の苦手の「貸借対照表」があるので泣きたい気持ちでしたが、これは、普段使っている会計ソフトで自動的に出せるようになっていて、ラッキーでした。キャッシュフロー予定表(現金のやりくりの仕方の予定表)は、ウェブで調べて、「こんな感じ?」と、我流の創作でしたが、それでも通りました。私、やるじゃん。このへんから、だいぶ調子づいてきました。もうここまで来たら、どうしても審査を通って融資を受けたい!そんな気になってました。


 融資決定の通知が来たときはバンザイバンザイ。お金の工面が出来たことよりも、事業計画が第三者から認められたことが、嬉しかった。デリカフェ事業は、まわりの人たちからは基本的に反対されていたので。


 でも、返済予定表なるものが送られてきて、2008年11月まで、36ヶ月分、1から36まで番号が振ってあるのを見て、36回も払えるのか?不安で心細かった。あの日を随分遠くに感じます。2008年なんて、来るのか?と思っていたのに・・・・


ある日のアルで・・フェアトレードショップ経営記-081216_063556.JPG

 ちゃんと、やってきましたね、2008年。

そして、200万、完済しました!!!!(なんべん言っているんでしょう)


 ap bank の事務局は、ウェブで融資先をていねいに紹介してくれたり、ap bank fes の会場でも特設テントを用意して、融資先とお客様たちが触れ合える場所を作ってくれたり、トークゲストに呼んでくれたり、スタッフ全員の手書きメッセージを入れての年賀状をくださったり、ほんとうにあったかいお付き合いをしてくださいました。


 おカネ貸してもらっているのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 電話で完済のお礼を入れ、折々の励ましに感謝を申しましたら、「こちらこそ融資先の皆様にはいつも励まされて」「いえいえ、おカネをお借りした上にいつも大切にしていただいて」「いえいえ、こちらも皆様に教わることが多くて」と、いつまでも頭の下げあいで、なかなか電話が終わりませんでした。


 おカネを通じてこういうお付き合いができるのは不思議で、とてもありがたいことですね。


 お礼に嵐特製のおからバナナケーキをお送りしました。やっぱり、便箋いっぱいに手書きの丁寧なお返事が来ました。


今、石川県にも、市民の手による金融をつくろう!と、有志が集まり準備しています。ap bank と同じ、NPOバンクです。五里霧中だったのが、少しずつ、道筋が見えてきました。


 おカネを動かしていくことにはリスクがあり、「必ずうまくいく」とは限りません。それでも、 自分のおカネが地域でまわるのを見たい、それで地域が良くなっていくのを見たい、という方。または、地域貢献、公共の利益になる何かを始めたいと思っている方。多くの人と一緒に夢が見たい、という方。どうぞご連絡ください。


 カンタンには出来そうにありませんが、バンクを作って何をしたい?と話し合っているだけで、相当楽しいです。


 「おカネが変われば世界が変わる」という、田中優さんの著書を、アルでも扱っています。これを読むと、NPOバンクの世界がぐぐっと近くなりますよ。おすすめします。


17年前

1件のコメント

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    >決して、励ましたり背中を押すような仰り方ではなくて、どちらかといえば投げた感じ?の一言でしたが、なんとなく、やってみる気になりました。
    この『なんとなく、やってみる』って気持ち、とっても大事ですよね。
    おかげで僕も今の自分の立場があり、一昔前には考えられもしなかった世界とつながることが出来ています。
    NPOバンクもまだ『やってみる』という感じですが、すごく面白そうで今からわくわくしてるので、『石川で回るお金の仕組み』を一緒に作っていけたらと思っています。

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